私は小さな村に生まれた。母と姉と兄と弟、5人の小さな村。兄はあまり話さない人で荷台に木を積んだり鉄を積んだり常に忙しくしていた。私が資源を取りに荒野に行くと既に熊は退治されていて狼も倒されていた。村に戻ると兄はシチューを作ってにんじんパイを焼いていた。母と姉は育児に専念していたので私と兄と弟で仕事を分担したが多くの仕事を兄がこなした。弟と一緒に羊の繁殖に取り組む頃には兄は歳を取っていて遠出は出来なくなっていたが鍛冶場で忙しくしていた。誰にも感謝される事なく、かといって自分の仕事を誇示する訳でもなく静かに死んでいった兄の骨を見つけた。私は墓を作った。弟は兄が消えた事を心配して探し回っていたみたいだが、子供達は兄の存在を知らなかった。私は死ぬ間際に墓の後ろにスギの木を植林してメモ用紙にこう綴った。「開拓の父、ここに眠る」
私も寿命を迎えこの世を去ったが誰かに見送られることは無かった。兄のように私もそっと息を引き取った。
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うわー、なんて人生だ!
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